2021年 <雨水号>     
                   
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  anthorogy 石田郷子選

     
 

otiba「椋」第98

 
     
  団栗をどれほど踏んだらうけふ   あをね

  仄明かき人声よ柿持つてつて   水原節子
  熟柿ひとつ井戸神様のうへに落つ  

鈴木しずか
  銀杏を踏んでエミューの鳴きにけり  

岡村潤一
  銀杏散りやまず体内時計ゆるり   小杉健一
  街道に出で一灯の秋めきぬ   田中英花
  ともらざる灯もありぬべし秋の雨  

林田裕章
  そくそくと馬の息吐く冬隣   福田鬼晶
 

手を入れて浅きポケット冬はじめ  

田口くるみ
  生き延びて生き延びてゐる母に冬   後閑達雄
 

柊の花が咲きさう明日会ふ  

黒澤さや
  けふ生きてきのふの枇杷の花にほふ   市川薹子
  大根の艶めきにもう負けてゐる   ザジ

  新聞をざつとたたみて石蕗日和  

近藤せきれい
  お向ひに遅れぬやうに落葉掃く   宇田川指月
  綿虫を摑もうとして若やげる   山月
  階段の鋼のひびき蔦枯るる  

飯沼瑶子
  凩の音に疲るる家居かな   柴田幾太郎
  このごろの日記の余白時雨そむ   山田 澪
  山あひの音の遅れる日向ぼこ   市川英一
  飯盒に炎の跡や山眠る   ぱんだ

  冬雲に怯えの色のまざりをり  

熊谷かりん
  呼びとむる声なく落葉踏みにけり  

柚子谷イネ
  言ひ訳はせずざくざくと霜を踏む   田中遥子
  よく笑ふ人よく晴れる冬の空  

近藤千津子
  別るとは深く逢ふこと冬の星  

内田こでまり
  山を出る始発列車や冬の星   田草川㓛子
  スチームのきしむ音本閉ぢる音   安藤恭子
  あをそらに耳立つる馬初氷   とちおとめ

  初雪や名湯で炊く粥の膳   花野日余子
  足あとのここより駆けて小春凪   立本美知代
  冬かもめ汽水域とはここらまで   ふけとしこ

  忘れ貝あらば拾はん冬の虹   森 木聖
  冬の虹忘れてそして忘れ去る   藤井あかり

  生返事してをり毛糸編んでをり   小椋 螢

  毛糸編むテレビドラマに恋溢れ   瀬名杏香
  極太で編むクリスマスまでに編む  

上田りん
  手より餌を貰ふ鶏クリスマス   髙橋白崔
  うつうつと這ひ出る蛸や年の市   藤井紀子
  店先に寒き呼吸して大栄螺   岡山晴彦
  お変はりはないですか雪の診療所  

亀井千代志
  鳥影の逸りて寒波来たりけり  

小林すみれ
  極月のまばゆき鳥の名を知らず   海津篤子
  歳晩の駆け下りて来し御神鶏   村上紀子
  炉を囲む倚子さまざまや愉しけれ   古谷智子
  冬眠のやまねを乗せてあげたき手   西田克憲
  うづたかき落葉の道を戻りけり   境野大波
  走り根をまたぎて年を越すごとし   石田郷子
     
     
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