花ミモザ明日会へるはずだつたひと
久子さん
死ぬふりの蜘蛛を見てゐてあたたかし
白梅に暗くなりたる左の目
その影も淡くて雛のあられかな
正面に観音山や雛の膳
ポケ ッ トを手が出て犬ふぐりを指す
沢音や寒禽の尾のピンピンと
干し物の影とぶ日脚伸びにけり
頰かむりして温かきもの啜る
熱燗や八方にある名無山
椋 第八十一号